ABOUT
想像してください。人に住まれなくなった家がなくなっていくとしたら。 想像してください。人に住まれなくなった村がなくなっていくとしたら。 想像してください。そこを訪れた若者たちがそんな場所をかけがえがないと感じているとしたら。
その家は福島県葛尾村の北の端にあります。松本さん一家が住んでいたので私たちは松本家と呼んでいます。 時には別の名前で呼ばれることもありますが、その話は、またいずれ。葛尾村はかつては1400人ほどが住む農村でした。 2011年の東日本大震災での福島第一原発事故によって全村避難となり誰も住めない村になりました。避難指示は村の一部を除いて2016年6月に解除されました。 現在では400人ほどが村内で暮らしています。それでも村の全地域に住めるようになったわけではありません。 今でも村北東の野行地区は帰宅困難地域に指定されています。そしてその境界は松本家のすぐ目の前にあります。
私たちは時々集まって松本家に泊まりにいきます。村の中心からもさらに遠い松本家で、全国から集まった私たちは話し食べ飲み、眠ります。 なぜ私たちは松本家に集まるのでしょうか。葛尾村に集まるのでしょうか。村は昔から外から人が来ることで成り立ってきたと言えるかもしれません。 縄文遺跡や中世の邸跡にその痕跡を見ることができます。私たちもその系譜に連なっているのでしょうか。あるいは、私たちは松本家に何か特別な愛着を感じているのでしょうか。
Webサイト「松本家通信」では、松本家を舞台にした私たちの活動や、そこから生まれた調査や作品をご覧になれます。 それらの一つ一つが小さな記録の集積となり松本家を物語ることになるでしょう。 このサイトをご覧になったあなたがいつか、松本家の語り部に加わってくださることを願っています。
より詳しい松本家計画に関する紹介をご覧になりたい方は 「はじめに」『松本家通信2022年夏季号』をご覧ください。